ヴィープリのある父親はドイツから娘のイルマ・パウッコネンのために人形を持ち帰り、娘はその人形を自身の故郷の街角で歩かせて遊んでいた。ヴィープリは当時、フィンランドで2番目に大きな街だった。人形の足の裏は度重なる散歩により擦り切れている。ソヴィエト連邦が1939年の11月末にフィンランド東の国境を超えてカレリア地峡に侵攻すると、ヴィープリの人たちは冬戦争を逃れて疎開した。そのときイルマは人形を一緒に連れて行ったという。